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オラがマチにも高速、空港、新幹線を…


GWもようやく終了。 各地の田圃にも水が入り、陽光に反射して輝く頃になります。 野山は萌黄色から色を増し、緑が濃くなっていく時季ですね。 まもなく、ホトトギスの声があちこちから聞こえてくるようになります。

イコモスが玄界灘に浮かぶ歴史ある島々に世界文化遺産への登録勧告を出しました。 一方で、推薦リストに載せていた構成資産のいくつかは「除外」との判断でした。

地元行政や古来より信仰を護る方々、登録を推進してきた研究者の方々、登録を待ち望んできた地元の一部の皆さんとしては、「厳しい判断」「残念、がっかり」「晴天の霹靂」等々の念を抱かれるのは当然のことです。

…ですが、 日本的な価値観と世界遺産の趣旨である価値観は、そもそも一致してはおりません。 まずは、その点をベースとして認識しているか、否か。

三神を核とした信仰と文化は「このエリアの面的広がりで一体かつ三神で一体」であることで成立している訳で、 そこに不動かつ不変の大きな価値がある訳です。この点は心から尊重すべきことです。 ただし、です。 それは「日本的な価値観」での話。

かたや、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が世界各地の遺産をリストに登録する目的は 「顕著な普遍的価値を有する文化遺産・自然遺産の保護」、です。 その物件は人類にとって顕著で普遍的か、が価値基準な訳です。

…いかがでしょうか? 双方の価値観(価値基準)が一致していないことは明らかかと思います。 (まあ、何をもって&どういう視点・史観で「顕著」「人類に普遍的」と見なすのか? という疑問を抱く方もいらっしゃるでしょうけれど…。)

ですので、 リストに載らないから価値が低い、と思う必要も全くなく、 全部認めてくれないとイヤだ!なぜ価値を認めないんだ!的に反応する必要もない、 のではないかなあ…と思っている次第です。「それはそれ、これはこれ」という認識が大事かな、と。

今回に限らず、この国における世界遺産の位置付けや認識は、一部の方々を除き、 どちらかと言うと、 地元行政、商工関係者等は、 「観光流動の増大による地域振興」「まちづくり、まちおこし、地域づくり、地域おこし」 一般的な方々は 「超有名な観光地」「とりあえず行っておくべきお墨付き観光地」 といったもの。

登録直後数年の狂乱的なブームとそれ以降の極端な反動が地元や構成資産(遺産)に何をもたらしているのか。

特に、各地の行政や商工関係者はそろそろ目を覚ます必要がありそうです。 世界遺産にすること・なること&それで観光客が沢山来ること、が最大目的になっていませんか?

もし遺産登録されたら、 厳しく求められ続ける資産価値の維持、保護保全と利用のバランスの維持、等々への努力は尽きることがありません。 それらの努力を核として、どんな地域を創っていくのか、目指していくのか、どんな仕組みを創り運営していくのか。(その中に「どんなビジターが来てくれるどんな観光地になりたいのか」も含まれます。)

先に存在すべきグランドデザインが、 この国の各地で展開される世界遺産登録運動には欠けているように見えるのは私だけでしょうか…。

「おらがマチに高速、空港、新幹線を」と同じメンタリティはもう要りません。

Discover Walks 亀津


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